塗装工事の工程とその理由について考えるページです。


  塗装とは塗料を薄い膜にして素材に直接傷が付かないように製品を保護するとともに、外観を美しいものにして人の心を満たす働きがあります。
塗料と塗装のかかわりあいから塗料の意味を考えると、塗料とは流動性を持ち、塗り広げるとフィルム状になって被塗物の表面に密着して固化し、製品表面を保護して美しく化粧するものだと考えてます。塗料と塗装は車の前輪と後輪のような関係で、塗料は塗装される事によって初めてその目的をはたすものだと思います。いかに優秀な塗料を使用し、どんなに入念な塗装をしても、素材表面(被塗面)が汚れていたりさびたりしていると、期待された塗装の効果は発揮出来ないでしょう。さびの発生した鉄材や水分の多い木材に塗られた塗膜は非常にはやく痛んでしまいます。良好な被塗面を作ることを「素地ごしらえ」または「塗装の前処理」といい、素材に応じた適切な処理が行われるものなのです。


  塗装は下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りが標準です。最初の塗りは下塗りといい、素材との密着、素地の平滑化のためで、金属の時は防錆も考慮され、プライマー工法ともいいます。次は中塗りで、平滑性の向上、必要とする塗膜の厚さ(肉厚)、均一な色彩などを得るための塗りになります。最後の塗りは、目的にあう色彩や性能の塗料の塗りで、上塗りといいます。一方塗られる表面のまわりを十分に掃除し、周囲が塗料で汚れるおそれがある場合は噛みテープ、カンバスなどで保護し、乾燥中や乾燥後の塗膜が損傷するおそれがある場合には十分な予防処置をする。このことを養生といいます。従って広い意味の塗装とは素地ごしらえをし、塗料を調合し、塗付け、乾燥することおよび養生などをふくんだ一連の作業の事であります。

下塗り▲

中塗り▲

上塗り▲


  塗装の目的は被塗物の保護と美化でありました。工業製品の多様化に応じて塗膜の特性に着目し、あるいは新しい特性を開発して、製品に新たな機能を与える利用面も増えてきています。
金属は錆びやすく、木材は腐食するので保護のために塗装は行われ、耐水性、耐湿性、非退色性などに加えて、塗膜の耐久性として耐熱性、耐薬品性、耐油性、防カビ性などが求められています。米国標準局があきらかにしたところによりますと、金属の腐食による米国の損失は年間約14兆円と見積もられています。しかし、米国よりも湿気の多い日本ではどうでしょう?予想外に大きいものとなるのです。資源の少ない日本では錆びや腐食に防止は省資源にむすびつく大切な事だと思います。塗装は色彩・光沢・平滑性などを与えて美しく保つ事とともに大事な家を守る転ばぬ先の杖とも言えるというわけです。


  今までは「より速く・安く・大量に・便利に」でした。それが「より安全に・省資源で・環境保全に留意して」が求められているのです。